猫舌ヨーロッパ見聞録

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ヨーロッパ駐在生活と、猫・語学・旅行などについて書いていきます。

猫飼い駐在員必修!帰国に向けた狂犬病予防接種@ベルギー

海外でペット(犬猫)と暮らす駐在員が避けて通れないこと、それは、「日本帰任時のペットの輸入手続き」です。この手続き、実は結構時間と手間が掛かります。この記事では、必要な手続きの概要と、実際にうちの猫ちゃんがベルギーでワクチンと抗体検査を受けた時の話をご紹介します。

結論から先にいうと、ペットの帰国準備は、帰任の1年くらい前から動き始めておく必要があるというのが私の見解です。

犬猫飼いの皆様におかれましては、帰任の段になって、大切なペットと一緒に帰れない!なんてことにならないように、きちんと手続きについて把握しておいてくださいね!

 

 

海外から日本に犬猫を連れて帰る方法

日本にペットを連れ帰る上で問題になるのは、ペットが狂犬病に感染している可能性です。島国であり、狂犬病を撲滅した過去を持つ日本は、入国の際に厳しい防疫を敷くことにより、狂犬病の侵入を防いでいるのです。そのため、指定地域(日本政府が、「狂犬病は存在しない」とみなしている地域=アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアムのみ)以外から犬猫を連れ帰る場合は、以下の対応が必要となります。

  • マイクロチップによる個体識別
  • 複数回の狂犬病予防注射
  • 狂犬病抗体検査などについて必要事項が記載された輸出国政府機関発行の証明書の提出

※日本の動物検疫所のウェブサイトに手引書やチェックシートが掲載されていますので、正確な情報はこちらを参照してください。

犬、猫の日本への入国 (指定地域以外編):動物検疫所


1. マイクロチップによる個体識別

ベルギーにおいては、飼い猫にマイクロチップを埋め込むことが強く推奨されています。埋め込みは獣医さんにやってもらう必要があり、チップを埋め込むと同時に、CatIDというデータベースに猫ちゃんの情報が登録されます。

我が家の場合は、ペットシェルターから引き取った段階でチップの埋め込みは完了していたので、追加の作業は必要ありません。

 

余談ですが、アニマルライツの進んだヨーロッパでは、「ペットのパスポート」制度があります。マイクロチップに過去のワクチン接種履歴等が紐づけられており、煩雑な手続きなしにEU内の国境を越えてペットの移動をすることができます。便利。

 

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うちの猫どものパスポート。

2. 複数の狂犬病予防注射

猫ちゃんの体に狂犬病への抗体を作るためには、2回以上の予防注射が必要になります。

1回目は、91日齢(生後約3か月)以降。ちなみに、原則として1回目の予防注射までにマイクロチップ埋め込みを完了させておく必要があるのでご注意を。

2回目は、1回目の注射から30日以上後、かつ1回目の注射の有効免疫期間内に受ける必要があります。有効免疫期間というのはワクチンの製品の種類ごとに決まっているそうなので、獣医さんに確認してみてください(一般的には1年間?)。

 

狂犬病の予防接種は、かかりつけの獣医さんに事前に予約すれば受けることが可能です。ちなみに、狂犬病は英語でRabies、フランス語でRage(女性名詞)といいます。「狂犬病ワクチン」なら、Vaccine for rabies(英)、Vaccin contre la rage(仏)ですね。

 

3. 狂犬病抗体検査

さて、2回の予防注射が終わったら、今度は猫ちゃんの体にちゃんと抗体ができているか検査をします。これも、かかりつけの獣医さんに依頼すれば、獣医さんのところで採血をして、血液サンプルを検査機関に送ってもらえます。検査費用は1回EUR40~60程。

※この検査は、日本政府が指定する検査施設で、指定された検査方法(FVANまたはREFIT)で行う必要があります。獣医さんに依頼すれば大丈夫だと思いますが、心配な方はご自身でも注意して見てみてください。ちなみに、ベルギーではSCIENSANO(シエンサノ)という機関が検査をやっています。

指定検査施設:動物検疫所

 

検査の結果は最短1週間くらいで出るみたいです(うちの場合は獣医さんから転送されてくるまで3週間くらい掛かりましたが…)。ちなみに、抗体は英語でAntibody、フランス語でAnticorpsです。

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結果は”Satisfactory”で、ちゃんと抗体ができていました。

 

抗体検査の有効期間と、有効免疫期間の違い

無事抗体検査の結果も出てきました。この結果は、採血日から2年間有効です。ただし、ペットを日本に持ち込むためには、1回目の狂犬病予防注射から日本到着までの間、有効免疫期間が1日も途切れていないことが必要というのが少しややこしいところです。

 

我が家の例でいうと、抗体検査の採血が2021年5月なので、抗体検査の結果は2023年5月まで有効。

一方で、1回目の予防注射が2021年2月、2回目の予防注射は2021年3月なので、有効免疫期間は2022年3月で切れてしまうということになります。

日本への帰国が2022年4月以降になる場合は、有効免疫期間が切れる2022年3月までに、追加の予防注射を受けて、有効免疫期間を延ばす必要がある、ということです。(ややこしい…)

 

なお、我が家の帰任予定日は、2021年7月現在、まだ決まっておりません。たぶん2023年になると思ってはいますが。

 

4. 帰国に向けた事前届出

日本への帰国が決まったら、犬猫が日本に到着する40日前までに、到着予定空海港を管轄する動物検疫所に届出を出す必要があります。到着40日前を過ぎた届出は原則受理されないそうなので、早めの動き出しを心掛けましょう!ぎりぎりまで到着予定場所が決まらない場合は、とりあえず事前に出しておいて、後から変更届を出すこともできるみたいです。詳細はリンク先の手引書を参照してください。

犬、猫の日本への入国 (指定地域以外編):動物検疫所

 

5. 出国前検査&証明書発行

いよいよ出国前最後の作業です。出国直前(搭乗前10日以内)に、獣医による最後の検査を受けます。狂犬病にかかっていないことの再確認が目的です。

 

さらに、輸出国政府機関が発行する証明書を取得する必要があります。これは、獣医さんに基本的な内容を記入してもらい、その内容について政府機関が裏書証明を行うという建付けだそうです。取得にどのくらい時間が掛かるのかはちょっとわからないので、かかりつけの獣医さんに聞いてみてください。

 

ここまで来たらあとは出発のみ!日本に着いたら、動物検疫所と税関での検査を受けて、入国完了です。

 

 

以上の通り、ペットの入国までには予想以上に面倒な手続きが必要です。不備があった場合、最悪返送or致死処分という結果になる可能性もありますので、周到な準備で臨んでください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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