【千はk、百万はM】大きな数字の表し方、英語・ドイツ語・フランス語【世界の命数法】
今回の記事は2部作になる予定です!テーマは、「外国語での大きな数字の表し方について」。
先に言っておくと、これについて調べていくうちに私は、「とんでもなくめんどくさいテーマに首を突っ込んだな…」と思うようになりました。というのも、現実世界が非常にややこしいものだからです。
詳しい内容に興味のある方はWikipediaのリンクを下に貼っておくのでそれを読んでいただくとして、この記事では非常にざっくりした内容を書いていきたいと思います。
- 数字表現に関する2つの疑問
- 大文字のKは間違い!kが1000を意味する理由
- 大きな数字の表し方の2つのルール:short scaleとlong scale
- 実は未統一?な「命数法」
- もっと詳しく知りたい方へ
数字表現に関する2つの疑問
社会人になってから、単位の大きな数字を表す際に、”K”や”M”のアルファベットを使う場面に出くわすようになりました。Kは1000、Mは100万の略ですね。最初はピンときませんでしたが、今ではもう慣れて自分でも当たり前に使っています。
ところで、100万がMなのは英語のmillionの頭文字なので分かりますが、Kってなに?というのが最初の疑問。
もう一つは、フランス語やドイツ語を勉強するようになって出てきた疑問。フランス語だと、100万はmillionですが、10億はmilliard。billionで辞書を引くと、1兆と出てきます。ドイツ語も同じで、100万はMillion、10億がMilliarde、Billionは1兆です。
私が知ってる英語だと、10億がbillion、1兆はtrillionのはずなんだが、これの違いは何なのか?というのが2つ目の疑問です。
ということで、いろいろ調べてみました。
大文字のKは間違い!kが1000を意味する理由
まずは1000を表すのにKを使う理由について。調べればすぐに答えが出てきますが、このKは我々もなじみがある"キロ (kilo)”を表すものだそうです。
このキロは、国際単位系において、10の3乗(=1000)倍の量を表す接頭辞として使われており、元々はギリシャ語で1000を表す単語に由来しています。
キロをアルファベットで表す場合、正式には小文字のkを使う必要があるそうです。というのも、大文字のKは国際単位系においては温度を表すケルビンの意味で使われるためです。知らなかった…
ということで、キロメートルもキログラムも、正しい表記はkm、kgとなります。私は今まで間違って大文字を使ってました。
ついでに言うと、この国際単位系において、倍量の接頭辞はギリシャ語、分量の接頭辞はラテン語から作るというルールがあったそうです。百分の一を表すセンチや千分の一を表すミリがフランス語のcent(=100)やmille(=1000)に似ているのは、こうした理由から来ているんですね。面白いです。
もう一つついでに、100万を表すmillionという単語のもともとの意味について。このmillionというのは、1000を表すmilleに、イタリア語で「大きい」というニュアンスを付け加える拡大接尾辞-oneが付いた"millione"という単語が語源です。英訳すると"great thousand"とでもいうんでしょうが、この単語がのちに10の6乗(=100万)を表す単語として定着しました。
大きな数字の表し方の2つのルール:short scaleとlong scale
数字の呼び方に関するルールを「命数法」というのですが、西洋においては、1000(=10の3乗)を基本にしたshort scaleという考え方と、100万(=10の6乗)を基本にしたlong scaleという考え方があり、この違いが言語ごと(あるいは国ごと)の違いに影響しています。
まずshort scaleですが、これは「数字を1000倍するごとに新しい名前が付く」ように考えます。million(=100万、10の6乗)を出発点として、1000倍するごとに違う接頭辞を付けて新しい名前を付けていくのです。
short scale | 乗数 | 日本語 |
million | 10の6乗 | 100万 |
billion | 10の9乗 | 10億 |
trillion | 10の12乗 | 1兆 |
quadrillion | 10の15乗 | 1000兆 |
quintillion | 10の18乗 | 100京 |
ちなみに、bi-、tri-、quadr-、quint-はそれぞれ、2、3、4、5を表すラテン語由来の接頭辞です。
次にlong scaleですが、こちらは「10の6乗倍(=100万倍)ごとに新しい名前を付ける」というのが基本的な考え方です。この考え方では、10億は単純にthousand millionという風に表されます。古い英語では10億を表す際にmilliard、1000兆を表す際にbilliardという単語も使われたそうですが、現代の英語では使われないそうです。一方で、フランス語やドイツ語などにはこの表現が残っていますね。
long scale | 乗数 | 日本語 |
million | 10の6乗 | 100万 |
thousand million (milliard) | 10の9乗 | 10億 |
billion | 10の12乗 | 1兆 |
thousand billion (billiard) | 10の15乗 | 1000兆 |
trillion | 10の18乗 | 100京 |
ちなみに、球技のビリヤード(billiards)の語源は数字とは何も関係ないようです。
いずれにしても、英語とフランス語・ドイツ語の語彙の違いはこのlong scaleとshort scaleからきているようです。
実は未統一?な「命数法」
ということで、大きな数字の表し方にバリエーションがあるのは、long scaleとshort scaleの2つの異なるルールの存在が理由出ることが分かりました。まとめると以下のようになります。
乗数 | short scale | long scale | 日本語 |
10の6乗 | million | million | 100万 |
10の9乗 | billion | thousand million (milliard) | 10億 |
10の12乗 | trillion | billion | 1兆 |
10の15乗 | quadrillion | thousand billion (billiard) | 1000兆 |
10の18乗 | quintillion | trillion | 100京 |
「ルールが2つあるとややこしいから統一してくれ!」と思いますよね。実際、国際度量衡総会が1948年に、long scaleへの統一を各国に呼び掛けたそうです。
この呼びかけに応じたのか?フランスやイタリアでは、現代では公式にlong scaleが用いられているそうですが、アメリカ・イギリスの英語圏はshort scaleが未だに主流のようです。私も、仕事で英語を使う際は左のshort scaleを使っています。
21世紀になっても数字の表現方法が統一されていないとは、少し驚きでした。
もっと詳しく知りたい方へ
ということで、当初の疑問は一応解決しましたが、西洋の国であっても数字に対する考え方が異なることは驚きでした。今まで、自分が触れている英語がグローバルスタンダードだと思っていたので、ちょっと考え方を改めた次第です。
もっと詳しく知りたい方は、↓のWikipediaの記事でも読んでみてください。面白いです。
次回の記事では、アジア(主にインドと中国・日本)の命数法についても少し触れてみたいと思います。(追記:書きました!↓)
pomme-voyage-langue-de-chat.hatenablog.com
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